(新情報追加)放棄になった出願および特許権の復活

米国では日本と違い、一度放棄になった特許・出願の復活が可能です。また、手続きも比較的簡単なので、何らかの理由で過去に拒絶理由通知に応答しなかった方や年金を支払わなかった方も検討されてはいかがでしょうか。

米国では以前から復活の制度がありましたが、特許法条約の批准に伴い、その利用がさらに簡単になりましたので紹介します。

2020年3月発表の新措置注意)

近年の特許法条約(Patent Law Treaty)への加盟に伴い、米国は優先権の主張期間(特許は12ヵ月、意匠は6ヵ月)経過後であっても、当該期間経過後2か月以内の出願に対して外国出願に基づく優先権の回復を認めるよう規則の改正を行いました。

2013年改正以前の従来の取り扱い

 改正以前の規定では、復活手続が取れるのは納付期限の「24カ月以内」であり、「故意ではなく(unintentional)」若しくは「避けられなかった事情(unavoidable)」によって支払いを逃してしまった場合にのみ、放棄された出願および特許権を所定の手続により回復させることができるというものでした。

改正後の取り扱い

 米国が特許法条約の批准をしたことに伴い国内法である米国特許法で維持手数料未納等による失効について改正が行われました。Patent Law Treaties Implementation Act of 2012の施行(2013年12月18日)に伴い、「24カ月」の期限や「避けられなかった事情」に関する規定が削除され、実質未納が故意でない場合(unintentional)は特許維持料を納付可能なグレースピリオドが過ぎた後でも納付sすることが出来、権利回復が可能となりました。回復に関する手数料(revival fee)は$1700(大規模団体の場合)が既定されています。

復活できる出願の中には、PCT国際出願の30ヵ月国内移行期限までに米国に国内移行手続きをとらなかったものについても含まれます。したがって、この復活手続を利用することで、30ヵ月の国内移行期限を逃してしまった場合でも、米国に国内移行することが可能になります。

中用権について

 復活制度は特許権者にとって大変有用ではあるものの、6ケ月の猶予期間後かつ特許の回復前に無効とされた特許について実施(あるいは実施の準備)をしていた場合には、その特許権が回復した後でも実施を継続できる中用権(Intervening rights)が定められています。ただし、中用権は特許侵害紛争等において裁判所によって個別に判断されるものであるので、注意が必要です。

Keisenでの実績

Keisenでの実務では、放棄になってから大体2年半までの案件は復活に成功しています。質問がある場合には下記のお問い合わせフォームから遠慮なくお問い合わせください。

2020年3月からの新措置(2020/3/2)

USPTOは、2020年3月2日に、本復活措置について以下の点を明確にする旨をFederal Registerにて公告しました。

すなわち、2013年の改正後、復活申請の時期的要件が外れましたが、いつまで手続できるのか不明確であったため、出願の復活、権利の復活、優先権の復活においては、放棄から2年を経過した以後に申請する場合には、その放棄がUnintetional であったことを証明するための追加の証拠を提出するように求めるというものです。

これにより、放棄から2年を過ぎると復活のための審査が厳しくなると思われます。

どれぐらい厳しくなるかは現時点では不明ですが、意図しない放棄により消滅した出願や権利の復活を希望するのであれば、2年以内にすることをお薦めします。

参考リンク→https://content.govdelivery.com/accounts/USPTO/bulletins/27f0a6d

関連米国法規

米国特許法 37 CFR 1.137

§1.137 Revival of abandoned application, terminated reexamination proceeding, or lapsed patent.

(a) Revival on the basis of unintentional delay. If the delay in reply by applicant or patent owner was unintentional, a petition may be filed pursuant to this section to revive an abandoned application or a reexamination prosecution terminated under § 1.550(d) or § 1.957(b) or limited under § 1.957(c).

(b) Petition requirements. A grantable petition pursuant to this section must be accompanied by:

(1) The reply required to the outstanding Office action or notice, unless previously filed;
(2) The petition fee as set forth in § 1.17(m) ;
(3) Any terminal disclaimer (and fee as set forth in § 1.20(d) ) required pursuant to paragraph (d) of this section; and
(4) A statement that the entire delay in filing the required reply from the due date for the reply until the filing of a grantable petition pursuant to this section was unintentional. The Director may require additional information where there is a question whether the delay was unintentional.

(c) Reply. In an application abandoned under § 1.57(a), the reply must include a copy of the specification and any drawings of the previously filed application. In an application or patent abandoned for failure to pay the issue fee or any portion thereof, the required reply must include payment of the issue fee or any outstanding balance. In an application abandoned for failure to pay the publication fee, the required reply must include payment of the publication fee. In a nonprovisional application abandoned for failure to prosecute, the required reply may be met by the filing of a continuing application. In a nonprovisional utility or plant application filed on or after June 8, 1995, abandoned after the close of prosecution as defined in § 1.114(b) , the required reply may also be met by the filing of a request for continued examination in compliance with § 1.114 .


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