【米国】単離遺伝子に特許性ありの判決

2010年3月に地方裁判所で特許性なしの判決を受けたAssociation for Molecular Pathology v. USPTO事件の単離遺伝子特許に関し、連邦巡回控訴裁判所(Court of Appeals for the Federal Circuit: CAFC)にて2011年7月29日付けで地方裁判所の判決を覆す「特許性あり」の判決がだされました。
このケースは、Myriad社が保有する7つの特許に含まれる15のクレームの特許性に対して訴訟がおこされていたもので、地方裁判所で特許性なしの判決が下された後に、CAFCに対して上訴されていたものです。
今回の判決では、人工単離遺伝子分子、および単離遺伝子を用いて癌のリスクをスクリーンする方法には特許性があるとの判決がだされましたが、DNA配列の比較および分析をターゲットとしたクレームは特許性なしとされています。
研究室で合成されるcDNA分子は、不要な情報を削除した単一遺伝子情報のみを有するという点で自然に存在するDNA分子とは異なります。特許性ありと認められたMyriad社の合成されたcDNAは、乳癌と卵巣癌の発症に関するBRCA1およびCRCA2分子です。今回さらに特許性ありと認められたのは、自然に生成されるBRCA1およびCRCA2と、これらと全く同じ情報をもったcDNA分子とを比較および分析することにより癌のリスクをスクリーンする方法であり、比較および分析に関しては特許性なしとされています。
米国特許業界では、おそらく最高裁への上告がなされるであろうと予想されています。
本件の判決理由にご興味のあるかたは、こちらをご覧ください。

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