現在、当事務所で研修中の弁理士(日本)が米国滞在中に、米国弁理士試験(通称Patent Bar Exam)に合格するべく猛勉強をしています。
そこで、米国弁理士資格についておさらいしておきたいと思います。
米国弁理士とは
米国においては、PatentAgent/Attorney資格を所有する者が、米国特許商標庁(USPTO)に対する特許及び意匠の出願・審判の手続代理を行うことができます。
Patent Agent/Attorney資格を取得するには、USPTOが実施する通称Patent Bar Examと呼ばれる資格試験を受験してパスし、USPTOに登録される必要があります。この試験の正式名称は、「Examination for Registration to Practice in Patent Cases Before the United States Patent and Trademark Office」といい、詳しい受験要綱は、ここで確認することができます。
就労ビザがあれば試験は受けられるが、永住権がないと「米国弁理士」にはなれない
その受験要綱にも記載されていますが、この試験を受験するには、外国人の場合、永住権を有する者か、Patent Bar Examを受験する旨を記載した就労ビザか研修ビザを有し米国内に適法に居住する者でなければなりません。ただし、就労ビザで受験した外国人は、試験に合格してもUSPTOに登録することができない(「制限付き」(Limited Recognition)となる)ため Patent Agent/Attorneyと名乗ることができず、かつ、就労ビザをサポートした企業の案件のみを登録されたPatent Agent/Attorneyと共にしか代理することができず、また、日本帰国と共にその資格を失います。この厳しさ故に、日本人でUSPTOに登録された Patent Agent/Attorneyの数は極めて少数となっています。
一方、日本の弁理士資格に対応する米国の弁理士(patent attorney)は、attorney at
law(通常の州弁護士資格)に加えpatent agent資格を所有する者及びpatent agent資格のみを有する者のことを意味します。通常の弁護士になるには永住権や就労ビザは要求されず、かつ試験合格率も比較的高いので、日本人にとって比較的ハードルは低いと思われますが、patent attorneyと名乗るためには、上述したようにUSPTOに登録されなければなりませんので、日本人でpatent attorneyになるには、少なくとも永住権を保有する者である必要があります。
Patent Bar Examを受検する方のほとんどが研修目的のようですが、もし、米国で実際に弁理士として活躍するのであれば、そのキャリアパスとしては、まず就労ビザで米国弁理士試験を受験してパスし、まずは、「制限付き」(Limited Recognition)となり、米国で数年働いた後、永住権を取得してPatent Agent/Attorneyとなるのが一般的ということになります。
過去の合格は帰国後は無効とされる可能性が大
なお、米国弁理士試験をパスした後に「Limited Recognition」のまま一度母国に数年帰国し、再度渡米して弁理士業務を行いたい場合には、帰国中の米国特許代理業務能力維持の証明が難しいため、もう一度試験を受験しなけばならないことになるようです。
一方で、米国籍保持者・永住権保持者の登録済米国弁理士(Patent Agent/Attorney)は外国からも業務ができます。
それでは、今回はこの辺で!