一般のアメリカ人の食事状況は、日本人と同様脂質と炭水化物が多く、そのうち脂質の、1日の総摂取カロリーに占める割合は42%にも登るとレポートされています。日本人の場合には23~30%(厚生労働省 平成 29 年国民健康・栄養調査)ですから、かなり多いですね。
このような脂質摂取過多の状況に対して、アメリカのUSDA(米農務省)は栄養成分摂取基準を公開し、脂質を総カロリーの30%以下に抑えることを推奨しています。
脂質は1gで9Kカロリーと、他の栄養素である炭水化物やたんぱく質のと比べて2倍以上のカロリーがあるため、カロリー制限ダイエットにおいてはこの脂肪摂取量を抑えることが重要になります。一方、脂質摂取を減らしても、炭水化物やたんぱく質ばかりとって体に良い訳はありません。カロリー制限ダイエットにおいては、カロリーそのものに着目するよりも、いかにして栄養バランスをとりながら同時にカロリーを減らすということが重要になります。
この記事では、アメリカの食品ラベルだけで、栄養成分摂取基準に従ったカロリー制限ダイエットを行う方法について検討します。
アメリカでもダイエットしたい、という方のお役に立てば幸いです。
この記事の目次
アメリカの食品ラベルは親切(日本のラベルは不親切)
アメリカの推奨摂取基準は、何もUSDAのサイトまで行く必要なく、各食品に貼られた成分表ラベルから知ることができます。これは便利です。
①有名なLays(1 oz)のポテチ
②ミッションのトルティーヤチップ
上の①、②は、アメリカの食品であればどの食品にも貼られているラベルの例です。
ものすごーく詳細ですよね?
日本のラベルの例は下のようなものです。
日本のはむっちゃくちゃシンプルですね~。
日本のラベルは単に数値を示しているのに過ぎないのに対して、アメリカのラベルからはいろいろなことが分かり、すごく親切です。
アメリカのラベルをどのように読むかというと、例えば、①のポテチの場合、1oz入ってて、これが「1 serving size」(「1人前」という意味)で、それに含まれる脂質F(fat)は、10グラムで、一日摂取総カロリーの16%ですから、
脂質(F)=10g÷16%=62.5g
となり、米国基準では、脂質(F)は1日に62.5グラム取ることができるのだということがわかります。
同様に、1 serving size(1人分、ポテチの例では1袋)に含まれる炭水化物Cは、15gで、一日摂取総カロリーの5%ということですから、
炭水化物(C)=15g÷5=300g
となり、炭水化物は一日に300グラム取っていいということになります。
そして、これからアメリカの理想PFCバランスを計算することができます。
PFCバランスとは、健康を維持していくうえで重要な3大栄養素の摂取バランスのことです。Pはタンパク質、Fは脂質、Cは炭水化物です。
まず、FとCをカロリーに換算します。すなわち、Fは1g=9Kカロリー、Cは1g=4Kカロリーです(これもちゃんとラベルに書かれてます)から、上記のグラム数より、FはF=62.5×9=562.5Kカロリー、CはC=300×4=1200kカロリーとなります。
そうすると、ラベルの表示より、1日の総カロリーDVは2000Kカロリーですから、Fの割合Fは
F=562.5/2000=28.1%、
Cは
C=1200/2000=60%
となります。
このように、摂取基準の脂質Fの割合は略30%であることがこの成分ラベルのみから分かります。他の成分も同様で、アメリカの食事基準(バランス)は1つの商品のラベルから簡単に知ることができます。
なお、この①のポテチの成分表は一日の摂取成分量の一覧も表示されています(上図)。一方、②のチップの成分表はここまで詳しく表示はされてませんが、上記と同様の計算は行えます。
あと、②のチップの成分表で気を付けなければならないのは、このチップには9 Servings含まれていることです。そして、表示されている栄養成分は1 serving size分になります。したがって、この②のチップ1袋を一気に食べる場合には各値を9倍する必要があります。
このSeving sizeという考え方、一瞬面倒なように思いますが、日本のに比べたら親切です。まず、このSeving sizeは一人分の接種目安と考えることができるので何人分入っているかがわかることです。一方、日本の場合には、100g当たりの成分しか表示されていないのが多いのですが、これが一人分というわけではないことと、ぴったり100gの商品でない限りはその食品に含まれる栄養成分を総量に応じて計算しなければならないことになります。アメリカの場合には、単純にSeving sizeの数を掛ければ良いので総カロリー等を簡単に計算できます。
アメリカでのカロリーダイエットに必要な摂取可能成分量を計算
さて、アメリカの摂取基準では脂質Fの割合は30%、炭水化物Cの割合は60%であることが分かりました。
次に考えるのは、自分の毎日の摂取カロリーをどれぐらい少なくすれば良いのかということです。
脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は、9kcal×1000g×80%(脂肪の2割は水分なので80%)=約7200kcal 程になります。 つまり、1カ月で1kgの脂肪を減らすために消費すべきエネルギーは、7200÷30=240kcalとなり1日あたり240kcalになります。この基準はアメリカでも日本でも同じです。
自分の体重を維持する(要するに体重±0にするため)のに必要なカロリー数ですが、これはアメリカで一般に用いられているMifflin-St Jeor equationを使うとして、次のリンク https://www.healthline.com/nutrition/how-many-calories-per-day で計算できます。
アクティビティレベルを「ちょっとアクティブ」と選択して、他の情報を入力すると、私の場合、以下のような結果になります。
上の計算より、体重を維持するには1984kカロリーとでました。これは日本の厚生労働省が公表している数値よりも小さいですね。アメリカ人用なのに意外です。
上記したように、1月で1kg体重を落とすには、ここから240kカロリー少なくすれば良いわけですから、そのために許容される1日摂取カロリーは1744kカロリーということになります。
そして、これに、上記で求めたF(脂質),C(炭水化物)のバランスを適用すると、
F(グラム)=1744*28%÷9(1g9カロリーなので)=54.2グラム
C(グラム)=1744*60%÷4=261.2グラム
となります。
PFCバランスを守ってダイエットをするには、実際には、これ以外にタンパク質を考える必要があるのですが、カロリー制限ダイエットにおいては、たんぱく質を制御するよりは、上記の脂質と炭水化物を抑えるのがずっと難しいわけですから、話を簡単にするため、脂質と炭水化物のみ考慮することとします。上記のラベルにおいても、そもそもたんぱく質Pについては基準が示されていませんし。
アメリカでのカロリーダイエットで取れる脂質と炭水化物の量:計算結果及び実践方法
以上より、アメリカ基準で毎月1キログラム痩せるには、毎日、脂質を54.2グラムまで、炭水化物は261.2グラムまでに抑える必要があることがわかりました。
具体的な実践方法ですが、上で述べたように、たんぱく質は無視していいと思います。
それで、例えば上記①のポテチを朝一番に食べた場合には、栄養成分表からFは10g、Cは15gですから、残りの一日で取れる脂質の量は54.2-10=44.2g、炭水化物の量は261.2-15=246.2gとなります。このように、食べた食品の脂質の量と炭水化物の量を適宜差し引いて行けば、自分は残りどれぐらいの脂質や炭水化物をとっていいのかが分かるというわけです。
この記録を効率的に行うためにはスマホのアプリをお勧めします。私が使っているのは、Myfitnesspalです。このアプリを使えば、簡単にカロリーの追跡を行うことができます。データベースにほとんどの食品の栄養成分が登録されているので、商品名を入れるだけで自動的に脂質と炭水化物の量を入力、記録できます。
PCでMyfitnesspalのウエブサイトを通して入力できますし、スマホから専用アプリを用いた入力できます。また、スマホの他のフィットネス系アプリと連動可能なので便利です。私は体重計のアプリと、健康管理のアプリとの連動を設定しています。
アメリカの一般的な外食でカロリー制限ダイエットは難しい
上記のように食べた食品を入力して、FとCの値を積算して行ってわかるのは、一般に、この目標を外食で達成することは困難なことです。
たとえば、私の好きな、マクドナルドのバターミルククリスピーサンドイッチにフレンチフライとコーラをつけるとどうなるか、見てみます。
合計すると、脂質は43g、炭水化物は143gとなり、総カロリーは1090kカロリーということになりました。
上述したように、許容されるカロリーは1日1744kカロリー、脂質F(グラム)は54.2グラム、炭水化物C(グラム)は261.2グラムですから、脂質をあとの食事で10グラム以下に抑える必要があり、チョイスが非常に難しくなることがわかります。
というか、無理です(笑)。
アメリカでは成分表ラベルだけでダイエット実行できるので便利だが、糖質制限の方がやりやすい
アメリカではこのように、成分表ラベルとアプリだけで上手くカロリー制限ダイエットをすすめることができます。
ただし、1食でも普通のアメリカ食を入れると難しくなるので、気を付ける必要があるということになります。
実際カロリー制限ダイエットをやってみるとわかりますが、(これは私見ですが、)外食ではなく自宅で調理をするとしても、アメリカ風のバーベキューをすれば、それだけで脂質が軽くオーバーしますので、実際には、糖質制限ダイエットの方がやりやすいと思います。
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それでは今回はこの辺で!