米国の子会社でされた発明の届け出を日本の本社にメールで送信しました。何か問題ありますか?

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皆さん、こんにちは!

先日、日本在住の方から受けた問い合わせで、以下のようなやり取りがありました。

問い合わせ者A「アメリカでされた発明を日本で特許出願したので、アメリカにも出願したいんですが

私「日本にだけ出願したのですか?」

A「はい、日本に出願してからそろそろ1年が経過するので優先権を主張してアメリカにも出願したいのです。」

私「それは、問題があるかもしれません。

問い合わせ者B「アメリカ子会社でされた発明を日本で出願したいのですが?

私「すでにアメリカには出願したのですか?」

B「いいえ、うちは日本の会社ですから、まず日本に出願したいと考えています」

私「それは、問題があるかもしれません

一体、何が問題なのでしょうか?

アメリカでされた発明を、許可なしに国外に持ち出すことは原則禁止されています

最近では開発もグローバル化しており、日米両国の関係者による共同開発等が増えてきていると思いますが、何も考えずにこれを行うと、特許権が取れなくなり事態が生じたり、最悪罰金や刑事罰が科されることがあるので注意が必要です。

関係する法律・規制は複雑で、以下の記事に詳しいですが、基本的に、アメリカ国内でされた発明を許可なく外国に持ち出したり(電話などによる国際電話やメール送信も含まれる)、米国永住権を持たない外国人に伝えることには問題があります。

前回に続いて、米国との契約に関する規制についてお話します。今回は、特に、技術の移転(研究開発の成果、ライセンス

この記事にあるように、米国子会社でされた発明を日本の本社の知財部に伝えることも問題になる可能性大です。

罰則は、特許権を取得できなくなる他、罰金刑、刑事罰が科せられる可能性もあります。罰金もアメリカですから高いです。また、会社と個人の両方に科せられる可能性があります。

アメリカで意図せず、「スパイ」になってしまう実例や可能性について以前、記事に書きました。

皆さん、お元気ですか? 今日は、米国で活動する方々にとってはちょっと怖い話かもしれません。。。 以前、岡山大学でこれに関する講演...

どうすれば良いのか?

大学での研究に適用される「学術目的の例外」等、あきらかにセーフなケース以外は、怪しいと思ったら当局から輸出許可その他の確認が取れているかををとることです。また、すでに特許出願がされていて、外国出願許可が出ていればセーフです。

なので、外国から、技術情報を伝えたい旨の連絡があったら、内容を聞く前に上記のことをまず確認することが重要です。

専門家に内容を確認してもらいたい場合は、その専門家が米国人であるか、あるいは少なくとも永住権を保有している日本人であるかを確かめることが重要です。

この点、私のような米国弁理士は、永住権を保有している者しかなれませんので発明を伝えてもセーフです。

それでは、今回はこの辺で!

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