中国の特許事務所が米国で出禁になり、15000件の登録・出願が取消に
私もゲスト投稿したことがあるアメリカの著名知財系ブログPtently-Oの以下によれば、特許庁に対して詐欺を働いた中国の特許事務所がアクセス禁止の制裁を食らい、その事務所によって提出された15000件の登録と出願が無効になったようです。
その詐欺の中身は商標出願について虚偽の証明書(おそらく使用証明書)を出し続けたというものです。
このような不正の問題は少し前から大きな問題になっており、米国商標出願は米国特許庁に登録された正規の代理人を通してでしか提出できなくなる改正が2019年になされました。
不正出願に手を貸していた米国の弁護士が出禁になるケースも
今回のケースを見ると、その後も中国からの商標出願問題は収まっていなかったようですね。
他の米国代理人の名前を借りるとか、出願人が直接出願する等の形式をとって脱法行為をしていたものと思われます。
以下の記事は、中国の法律事務所に名義貸しをしていた米国特許弁護士が処分を受けていることを伝えるものです。
そういえば、うちの事務所にも中国の事務所から似たようなアプローチがありました。。。
本当に何でもありですね。
今回の制裁で醜かったのは、特許事務所が出禁になるだけではなく、上記の中国の特許事務所を通じて出された15000件もの商標登録及び出願が強制的に無効(取消)にされたことです(上記patently-O)。
この事務所に出願を依頼した人たちはとんだとばっちり、といいたいところですが、そこは依頼した人たちにも問題があるケースが結構ありそうです。というのは、おそらく、アメリカにおけるアマゾン販売におけるブランド登録が背景にありそうだからです。
アマゾン中国人セラーとブランド登録
ある記事によれば、2015年から2020年までの間で、中国の出願人による米国への商標登録出願件数は7.5倍に増加したといいます。アメリカでは、新規出願の4件に1件が中国からの出願だそうです。この背景にあるのは、どうやらアマゾン販売のようです。
米国は、中国に次ぐ第2のEC市場規模を誇り、今後も人口増加が見込まれることや所得水準が高いことから中国以上に魅力的な市場です。ここで、米国アマゾンのベストセラー商品の販売事業者のうち、中国の販売事業者の割合は、2016年5月の11%から、2020年末には42%に成長したそうです。アマゾンは、販売事業者にAmazonブランド登録(Amazon Brand Registry)制度を提供し、登録者に様々な優遇措置を設けています。この登録をするには、対象地域における商標登録が必要となるため、これを狙って大量の商標出願をしているというのです。そして、その登録のためには手段を選ばないというわけです。
米国進出するのに最初に必要となるのは商標登録をというわけですが、最初からあまりお金をかけられないので格安業者を使っているところが多かったのだと思います。
特許ではこのような話は少ないですが、格安で商標出願を行う業者には胡散臭いのや違法ギリギリのがかなりいますから気を付ける必要があります。
それでは今回はこの辺で!