68万人のチャンネル登録者をもつ人気アニメユーチューバ―「Totally Not Mark」のアニメ批判動画が、一夜にして150本、東映によって削除された件が話題になっています。150本というと3年分の作業に相当するということで、ユーチューバにとって死活問題なると、様々なクリエータから同情や東映批判の声が上がっています。
広告収入により生計を立てているユーチューバーは多く、他人毎ではないというわけです。
東映は、著作権侵害に厳しい態度をとる会社として有名だそうですが、この動画は明らかに単なるコピーではなく、ユーチューバー自身が詳細な解説を加えた批評動画です。このような動画は、もしその目的が専ら批評のためということであれば米国ではフェアユースの範囲に入るとして一般的に許容されている程度のものであると解釈することが可能です。
この米国のフェアユースの考え方に対して、この記事に出てくるSugiyama弁護士は、日本にはこのフェアユースの考え方がないと解説しています。すなわち、日本の著作権法は米国ほど寛容ではないというわけです。
しかしながら、ユーチューブの動画削除措置は米国法(デジタルミレニアム著作権法)に基づくノーティスアンドテイクダウン手続によるものです。また、解説が英語で行われていることからすると、日本法ではなく、米国のフェアユースの考え方が適用されるのが妥当かと私は思います(この動画がフェアユースに当たるかは別の問題ですが)。また、東映は米国法人も持っていると聞いていますからその場合は当然に米国法が適用されるべきと考えるべきかもしれません。
東映の意図は明らかではないし、動画フェアユースの範囲に入るかは不明ですが、ただ、このようなやり方は漫画やアニメファンの支持を得られないではないかと、個人的に思います。
ユーチューブ社も、明らかな違法コピー(そのままコピー)ではない限りは、即時の削除は問題を拡大する措置になるだけなので、DMCAの規定はともかくとして、マニュアル申告の場合には対象動画を自動的に削除するのでは申告内容を実質的にリビューするなど慎重に対応するのがよいのでは、と思います。
いかがでしょうか?
今回はこの辺で!