自分の考えたアイデアが他人に盗まれた?? アイデアの盗用とはどういう状態か?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

皆さん、こんにちは!

アイデアに基づいたビジネスを行なったり商品を製造販売しようとする場合、一番重要なのは、どうやってそのアイデアを守るかですよね。

もちろん、そのアイデアを誰にもしゃべらなければ盗まれることはありません。

しかし、誰にも喋らずにビジネスや商品販売するのは一般に難しいですよね。

公開したアイデアは、公開前に特許出願をしておかなければ保護されない

そこで、人々は特許を取得して、アイデアを公開する代わりに独占権を得ようとするわけです。しかし、全てのアイデアに特許が与えられるわけではありません。特許が取れないようなアイデアの場合、どのように保護を求めれば良いのでしょうか?

例えば単なる「折り紙の折り方」は、用途が工業的でなく、単なるホビーに止まるときには特許を取得するのが困難です。

また、自然科学分野以外の学術論文の場合も、自然法則を用いるものでないことが多いので無理でしょう。

さらに、サービス等のビジネス方法についても一般に特許の対象にはなりません。

さらにさらに、公開前に特許出願しておかなければ保護されないのです。

ということは、ある種のアイデア、たとえば、折り紙の折り方の創作等は全く保護されないということになりますよね。

しかしながら、折紙創作や学術研究、ビジネスの開発やマーケティングにはかなりの時間と労力がかかるものであり、その成果を他人に盗まれたら」本当が腹が立つと思います。

そこで、「アイデアが盗まれる」について、より詳細に見て、そのような他人の行為から保護され得る可能性について検討してみたいと思います。

僕の「作品が盗まれた」とはどういう状態か?

一般に、Aが創作した作品を、他人であるBが盗んだという場合、以下の3つの形態に分けられるのではないかと思います。

ここで、Aは、当該作品の制作方法を本やウェブ等ですでに公開しているけど、特許や意匠権を取得していないものとします。

折り紙の場合、たとえば、その折り紙の折り方が掲載された書籍がすでに出版されているとします。

学術論文の場合、すでにその論文が発表されているとします。

折り紙の場合:

(1)Aが創作した折り紙作品を、Bが、Aに無断で、展示・販売する等した。
(2)Aが創作した折り紙作品を、Bが、Aに無断で、Aが公開した作製方法に基づき作成し、Aが創作した作品と表示せずに、Bの作品として展示・販売する等した。
(3)Aが創作した折り紙作品を、Bが、Aに無断で、Aが公開した作製方法に基づき作成し、Aが創作した作品と表示しつつBの製作した作品として展示・販売する等した。

夫々、どうなるでしょうか?

他人が作成した作品を無断で展示したら展示権の侵害になる可能性がある

まず、(1)の場合は、「Aが創作した折り紙作品」そのものの展示ですから、「Aが創
作した折り紙作品」が著作物であるかぎり、著作権法に定める「展示権」の侵害になります。

したがって、著作権法に基づき、差し止め請求や損害賠償請求ができるでしょう。

なお、「Aが創作した折り紙作品」が著作物に当たるかは、慎重に判断される必要があります。

Aが公開した作製方法に従えば全く同じものが量産できるような場合や、単純な作品の場
合、著作物性が認められない可能性があります。ただし、特殊な紙で作成したり、独自の
表現が加えられている作品の場合は認められる可能性が高いでしょう。

無断で使用した場合には、コミュニティから倫理的な問題が問われ、社会的制裁を受ける可能性が高い

(2)の場合は、Bが製作した作品であって、Aが作成した作品ではないですから著作権が問題になることはないでしょう。また、折紙の作製方法に特許が付与されていなければ、特許侵害の可能性はありません。

ただし、Aの作品をさも自分の作品のように展示したり販売したりした場合には、学術論文の盗用も同じですが、「他人の折り紙の盗用」とされ、倫理上の問題が生じる可能性があります。

例えば、Bが、Aと同じ折り紙アーティストである場合、Bに対しては折り紙コミュニテ
ィにおける信用が落ちたりする等、社会的制裁を受ける可能性があります。

したがって、学会が存在する場合のように一定のコミュニティが構成されていて、構成員がそこのルールに従わなければならないような場合には、そこでの信用低下等の社会的制裁が、実質的にアイデアの保護手段になっているということができると思います。

もちろん、根拠のない制裁は、コミュニティ自体の信用を失わせることになりますので、安易なルール作りは禁物です。

また、Bが折り紙コミュニティや学術学会に属していない個人や法人の場合には、コミュニティにおける信用低下や制裁は何の痛手にもなりませんので無意味です(本当に悪いやつらはこの手を使うでしょう)。

創作者を明示している限り、問題になることは少ない

(3)の場合は、Aの創作であることを明示しているのですから、「盗用」に当たることはありません。

そして、著作権の侵害や特許権の侵害に当たることもないので、全く問題にならないと思われます。

結論:アイデアを確実に保護するには特許権をとるしかない

そもそも「盗んだ」かどうかは立証するのが難しい可能性があります。実際に争いになったら話し合いでは決着しないでしょう。

そこで、特許法では、「盗んだか否か」を問わず、特許権の権利範囲に入るかぎり、特許権侵害として差止請求や損害賠償を認めているのです。

結局、アイデアを確実に保護するには特許権や意匠権をとるしかないということになるのです。

折り紙の折り方や非自然科学分野の研究成果については、上述したように特許をとるのは難しいですが、取れないわけではありません。(試しに、特許庁のデータベースで「折り紙」を検索してみましょう。工業用途の分野でいくつか登録例を発見できるはずです。)

諦める前に必ず専門家に相談するようにしましょう。

それでは今回はこの辺で!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする