皆さんこんにちは!
今回はクールジャパンで顧客の想像をする!をテーマに書きたいと思います。
ドラッカーが提唱した「顧客の創造」
「企業の目的として有効な手段は1つしかない。すなわち顧客の創造である」(「現代の経営」ドラッカー著・上田惇生訳/ダイヤモンド社)
PFドラッカーの哲学の中で最もすごい考え方が上記の「顧客の創造」だと思う。
私は日本人はいい意味でも悪い意味でもユニークだと思っている。日本には、その日本人のユニークさから生まれたすばらしい知的財産(IP)がまだまだたくさん埋もれており、これからもどんどん生み出される可能性がある。それらを使い、海外で新たな顧客の創造を行うのが私の経営するジャパンテクノロジーグループの目指しているところである。
折り紙で顧客創造
日本の知財を海外でビジネス化して新たな顧客を作ることのわかりやすい例として、我々は「折り紙」を選んだ。ニューヨークに我々が開いたタローズ折り紙スタジオは、折り紙テクニックの習得にお金を支払う人々という新たな顧客を生み出した。日本にはいない種類の顧客である。
かつて、日本人しか食べていなかった「寿司」は、80年以降、ものすごい勢いで世界に広がっていった。今や星の数ほど寿司屋があり、寿司という言葉を知らない外国人はいない。このような可能性を秘めている日本人の知財は、寿司や折り紙以外にもまだまだたくさんあると思う。
クールジャパンで顧客創造をする際に気を付けなければならないこと
ただし、ここで、気をつけなければならないことがある。
それは、単に「日本人が売りたいもの」を売るのではだめだということである。顧客の創造とは、すなわち、「顧客の欲するものを売る」ということだからである。その意味で、今、日本の経済産業省や文部科学省等がやろうとしている「クールジャパン」政策は的外れと言わざるをえない。
寿司は、カルフォルニアロールという、日本にいる日本人では考えもしなかった外国人が好む新しい形態の寿司を契機として世界に広がったが、カルフォルニアロールは日本では未だ受け入れられてない。同じように、折り紙をはじめとした他の日本のユニークな文化にも、世界の潜在顧客にあわせたチェンジが必要となる。このチェンジを寿司の場合と違って日本人が戦略的に行うとしたらどのようにすればよいのだろうか。ひとつ確実に言えるのは、何をどうチェンジしなければならないかを日本に居ながらに気づくのは難しいということだ。
クールジャパン政策は、日本人が考える日本文化を、日本にいる日本人がそのまま海外に売り出そうとしているように見える。だからだめなのだ。
ニューヨークの折り紙スタジオ
我々は、ニューヨークの折り紙スタジオを、「ラボ」(実験室)と呼んでいる。ブルックリンで、この1年間、顧客のニーズを分析し、世界に通じる折り紙の教授方法を開発してきた。そろそろ、世界に打って出る時だと思っている。
経済産業省等は特に既存の国内産業を振興する観点が強いので、なおさらチェンジ、それも自分たちのやり方ではなく、顧客の求めるやり方でのチェンジは難しいのであろうが、単に日本の文化を海外に売り込むことだけでは顧客の創造にはつながらないのだということに早く気が付いて欲しいと願う。