海外発のメードインジャパンを目指せ

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私は、国際技術移転の専門家として、日本の技術を当地米国でインキュベーションし、新たな米国発メードインジャパンとして世界に送り出すことが次なる日本のとるべき戦略ではないかと思っている。日本から一度出た技術は日本に戻ってこないのではないか、国内が空洞化するのではないか、という意見があるが、果たしてそうだろうか。

我々在米国邦人にとってなじみの深いカルフォルニア産コシヒカリブランドの「田牧米」、その生み親、田牧一郎氏が昨年から日本に帰国し新たなコシヒカリ世界化戦略を練っているという。

田牧氏は25年前単身で渡米し、当時中粒米しか作られていなかった田んぼの土を改良し、それまで育成が難しいとされていた短粒種のコシヒカリの生産に成功し、田牧米ブランドでカルフォルニア産コシヒカリの世界流通を成し遂げた農業起業家である。しかし、今ではカルフォルニア州では人件費等が高くなりすぎ、味はともかく、コストの面で世界市場を狙うのは限界なのだそうだ。

彼の次なる生産候補地は南米ウルグアイ。日本からはるばる片道30時間、毎月通っているのだという。

南半球だが日本と緯度がほぼ同じで日照時間などの気象条件がコシヒカリ生産にぴったりで米の輸出および輸入のインフラが整っているからだ。そして、生産コストは日本の5分の1。また、輸送費用も日本からアジアに送るのとほぼ変わらないのだそう。今回、味・食感等のテストに合格し、来年の収穫分から本格的に世界進出を狙っている。

それに対して当の日本は、他国の安い米が簡単に入ってこないように門戸を閉ざし続けようというのだろうか。

ウルグアイのもうひとつの良い点は、隣国巨大市場のブラジルと貿易協定(FTA)を結びほとんど輸出に関税がかからないことだという。FTA以外の国からブラジルに米を輸出するのはその高い関税からほとんど無理なのだとか。

進出か鎖国か、どちらが日本の米をグローバルスタンダード化する道なのか、どちらが栄光の道になりうるのか。田牧氏は、コシヒカリの生産や流通には経験と技術を有する日本人の関与が必要だと言う。日本として、どっちの道を選ぶべきか、はっきりしていると思う。

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