経産省・総務省の「「コンテンツ海外展開の促進に向けた施策」についての考察(その2)

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前回述べたように、経済産業省/総務省は、あらゆるプロジェクトを支援するというわけではない。以下のように、対象を「映像コンテンツ」に限っている。

「2.日本の魅力の効果的発信のための施策~コンテンツ海外展開の促進~
○映像コンテンツの海外流通を促進するため、今般の補正予算で以下3点の支援を実施。
 ①海外展開に必要な映像素材のローカライズ(字幕、吹き替え等)コストの補助
 ②プロモーション(PRイベントの開催、渡航費等)コストの補助
 ③海外放送局等との国際共同製作への支援」

したがって、「日本の魅力」である「コンテンツ、ファッション、アニメ等、海外で人気の高い日本の商品・サービス」は、この映像コンテンツに落とし込まれなければならないわけである。

海外に促進したいコンテンツがアニメや映画である場合には、それ自体が「映像コンテンツ」であるから比較的簡単に適用可能であるが、コンテンツが日本の文化や地域の特産品のような場合には、それをどのように映像コンテンツに落とし込むかを考えなければならない。

なるほど、日本のソフトパワーを伝えるための媒体として映像コンテンツが必要というわけである。その媒体がすでに存在する場合でも、そのままでは言語や文化の差があって使用できないだろうから、現地用にローカライズする必要がある。そのための費用を援助しようというわけである。

しかし、単に映像コンテンツを作成し、それをローカライズして単にオフライン若しくはオンラインで上映しても、すぐに日本の魅力のプロモーション→ビジットジャパンになるかというと、それは不可能であろう。したがって、経産省・総務省の意図する「ローカライズ」の意味は、現地でのプロモーションの落としどころとなる現地ビジネスがあったうえで、それを上記の枠組みにどのように落とし込めるかということであろう。

日本の魅力
  ↓
現地向け映像コンテンツの作成
  ↓
映像コンテンツを使った現地ビジネスのプロモーション
  ↓
ビジットジャパン

そのように考える場合、折り紙をはじめとする、日本伝統文化のような、日本の本来の魅力の源泉のようなコンテンツに対して、どのようにこの施策を適用すればよいのだろうか?

これを考える場合、この資料の2枚目のスライドのチャートが参考になる。

 このスライドによれば、プロモートする「クールジャパン関連商品」として、「BtoC消費財」を対象とし、その例として、

○ファッション・アパレル
○美容・化粧品
○外食(寿司、ラーメン、菓子等)
○レトルト等加工食品
○酒・飲料
○食器・調理器具
○家電、ウォシュレット等
○インテリア・家具
○文房具・雑貨・伝統工芸品

を挙げている。

ここで、「折り紙」は上記例に挙げられていないが、少なくとも、消費財としての「折り紙用紙」は、明らかに「文房具・雑貨・伝統工芸品」に入ると思われる。

しかし、通常の日本製「文房具・雑貨・伝統工芸品」のように、「文房具・雑貨・伝統工芸品」そのものに日本の魅力が化体しているものと異なり、 「折り紙用紙」は「折り紙」という無形の「技法」ができて初めて意味を持つため、折り紙用紙より先に「折り紙」の普及が必要なってくる点で通常の「文房具・雑貨・伝統工芸品」と異なる。したがって、「売りっぱなし」というわけにはいかない。

では、そのような相違点を考慮しつつ、「折り紙用紙」を映像コンテンツ化し、上記スライドにある、

1.日本ブーム演出(配信・放送メディア)
2.現地で稼ぐ(ロジスティックス・商業拠点)

を実現し、かつこれらを効果あらしめるにはどうすればよいのか?それを考えると、やはり、「折り紙を教える」ということをバックに用意しておく必要があるとなろう。「折り紙用紙」の場合、我々のようなタローズ折り紙スタジオのような折り紙教室若しくは、何らかの手段で折り紙を習うことのできる基盤が必要になるのである。

実は、その基盤の構築こそタローズ折り紙スタジオが目指すところの一番大変な事業なのであるが、今回の経産省・総務省の施策ではそこは重要視していない(残念ですが)。

したがって、次回は、すでにそういう基盤が構築されていることを前提に、 「折り紙用紙」を映像コンテンツ化し、上記1、2を実現する方法について考えてみる。

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