経産省・総務省の「「コンテンツ海外展開の促進に向けた施策」についての考察(その1)

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経済産業省・総務省が25年2月に作成した資料「コンテンツ海外展開の促進に向けた施策」(http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/130218-2.pdf)を手に入れた。

コンテンツ海外展開の促進について、事業費の2分の1を上限に助成金を出すという。その予算はなんと170億円である。

そこで、この資料に基づき、日本政府が考える「クールジャパン戦略」と、海外の現場で実際に折り紙コンテンツの国際展開を行っているタローズ折り紙スタジオの戦略との関係について自分なりに考えることにした。また、これを考えることにより、タローズ折り紙スタジオに活動が母国にどのような利益を及ぼすことができるかを考える機会にしたいと思う。

資料では、まず、政府クールジャパン戦略の背景について、以下のように説明している。

「1.クールジャパン戦略について
(1)コンテンツ、ファッション、アニメ等、海外で人気の高い日本の商品・サービスは多数存在。 こうした「日本の魅力」を「産業」に転換し、経済再生・地域活性化につなげることが必要。
(2)しかしながら、日本の魅力を海外にアピールする上で潜在能力を十分発揮できておらず、海外需要を取り込めていない。
(3)特に、クールジャパンを支えるクリエイター、デザイナー等や中小企業は、足がかりにすべき海外拠点がない、金融機関からの資金調達が困難である等の理由により、単独で海外展開することは困難な状況。
(4)このため、戦略的な海外展開のためのクールジャパン戦略の早期作成、実行が必要。」

(1)を見ると、クールジャパン戦略の目的はあくまで、「経済再生・地域活性化」である。ここでいう「経済再生・地域活性化」とは、言うまでもなく、日本の「経済再生・地域活性化」である。それをどうやってやるかというと、「海外で人気の高い日本の商品やサービス」で「海外需要を取り込む」ことで行うというわけである。

要するに「日本の魅力」である「コンテンツ、ファッション、アニメ等、海外で人気の高い日本の商品・サービス」はまだ「産業」の役には立っていないから、「経済再生・地域活性化」に貢献していないというわけである。ここで「産業」というからには、ある程度の規模があり、大きく儲かるビジネスということであろう。分かりやすく言えば、「コンテンツ、ファッション、アニメ等、海外で人気の高い日本の商品・サービス」が、自動車や家電、重工業等の「産業」に役に立つことがこの施策の目的であるといえる。

ただし、いまのところ、「海外で人気の高い日本の商品・サービス」のうち、どの「商品・サービス」が日本の産業の活性化に役に立つか不明であるから、まずは、可能性の低そうなものでも良いから、「海外で人気の高い日本の商品・サービス」の海外進出・展開を助けてみようというのが、この施策の目的のようである。

次に、その方法であるが、これについて、経済産業省は「異業種連携によるインキュベーションの仕組み」が重要であると考えているようである。その理由は、「クールジャパンを支えるクリエイター、デザイナー等や中小企業は、足がかりにすべき海外拠点がない、金融機関からの資金調達が困難である等の理由により、単独で海外展開することは困難」だからである。したがって、それらの「クリエイター、デザイナー等や中小企業」が連携するべき異業種とは、海外展開力のある若しくはすでに海外展開している既存の企業等ということになる。経済産業省/総務省は、そういうチームの活動に補助金を出すといっているわけである。

しかし、経済産業省/総務省は、あらゆるプロジェクトを支援するというわけではない。以下のように、対象を「映像コンテンツ」に限っている。

「2.日本の魅力の効果的発信のための施策~コンテンツ海外展開の促進~
○映像コンテンツの海外流通を促進するため、今般の補正予算で以下3点の支援を実施。
 ①海外展開に必要な映像素材のローカライズ(字幕、吹き替え等)コストの補助
 ②プロモーション(PRイベントの開催、渡航費等)コストの補助
 ③海外放送局等との国際共同製作への支援」

なるほど、「日本の魅力」を伝える媒体として「映像コンテンツ」を特定し、この映像コンテンツの海外流通を促進するというわけである。この方法は、外国人を日本の魅力に共感させる手段として、私の記事「日本のソフトパワーをどのように発信するべきなのか」でも書いたように、ある意味正しいと思われる。

この映像コンテンツの作成とプロモーションに170億円の補助金が付くわけである。

次回は、タローズ折り紙スタジオによる折り紙コンテンツの国際展開戦略が、この政府の施策で促進可能なのかを考えてみる。

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