2013年、政権交代元年。日本復権への期待。
先週(2013年1月第1週)、日本で新幹線のニューステロップに流れる最新の為替情報では1ドル86円。そして、一週間後の今日は、89円、一か月前と比較すると10円以上円安になったことになる。安倍政権に代わり、毎日ニュースで次々伝えられる新たな施策の数々、そしてその額の大きさには、相当疑い深い人でも、なんとなくこのまま景気が良くなるのかも、思うのではないのだろうか。
本屋に並ぶ日本経済を予想することに関する本も、以前は悲観的なものが相当多かったように思うが、今回の帰国で見たところ悲観的なものと楽観的なものの数が拮抗してきた。日本だけで何とかなる、日本技術はすばらしい、これから日本の時代になる、日本人はすばらしい、脱グローバル等々の主張を前面に出す本がかなりあった。 もともと昨今の英語公用化などを含めたグローバル化の動きに対してアレルギーのある人たちにとっては、これは良い傾向で、感情的にも、日本復権のムードは歓迎すべきものになっている。結果として安倍政権の施策は、国内回帰を煽るようなものになっているような気がする。
日本企業の新年訓示は国内回帰ではなくグローバルへの舵切り
しかし、年が明けて、1月4日の仕事始めの日になされた大手企業の代表者の訓示等を見ると、将来に向けて今年はグローバル化をますます進めるというものがほとんどであった。また、1月9日のNHKニュースウォッチ9のインタビューで、孫正義氏は現在の日本の状態を「一億総引きこもり」と表現していた。一般国民の間で広がる楽観ムードと異なり企業の経営者が現状を依然として厳しい状態と考えていて、世界へ打って出ることが必要であると考えていることがわかる。
安倍政権への不安
そうやってみると、安倍政権による国内回帰を煽るような施策に対しては、個人的には一体日本をどのようにしたいのだろうかという疑問を抱かざるをえない。
今回の施策で日本の景気は少なくとも一時的には良くなるのであろうが、それが日本人が直視しなければならない現実や痛みから目をそらせるものにならなければ良いが、と、本当に思う。むしろ、景気が良くなるのであれば、それを契機として、世界へ打って出て欲しいと思う。国際技術移転をやっていて思うのは、いくらいいものを技術を持っていても、積極的にネットワークを作り売り込んでいかなければ世界で勝つことはできないということ。安倍政権には、日本人がこの点で道を誤らないように、たとえば、日本人の国外への進出や国外活動を促進するような施策もお願いしたいところだ。
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日本・米国弁理士/折り紙プロデューサ 矢口太郎