日本の参加者はゼロ
今年のOrigami USAには約600人の参加者が集まりました。日本からの参加者は、ここ数年減少傾向にありましたが、今年は、円安と現地の物価高の影響もあったのか、ついに全く見かけなくなりました。折紙は、日本文化でありながら、世界で市民権を得た結果、日本人の関与なしで普及活動が可能になったということができると思います。
私はスポンサーとしてOrigami USAに関与していますが、実際の運営には全く関わっていません。折紙は紙を折るだけというシンプルな行為であり、書道や茶道のように特別な技術や道具を必要としないため、誰でも取り組むことができます。したがって、一旦広まると日本人がいなくても広く普及することができるのです。
普及前の日本文化には多くの日本人が関与
一方、折紙USAの会場ホテルの真ん前の7thアベニュー(マンハッタン)で、ストリートフェア「Japan Fes」が行われていました。ここでは、日本人が運営するブースが数多く出店していました。売っているものは、日本のおにぎりやラーメン、お好み焼きの他、日本の民芸品などが並びました。日本文化に関わるものでありながら、日本人が多く関わるイベントと関わらないイベント、その違いはどこにあるのか、興味深いところですが、おそらく、普及前の日本文化は日本人が多く関わり、広まると外国に主導権が亘るということができると思います。
巨大日本関係イベントの運営は外国人
また、ポップカルチャーのイベントも興味深い例です。フランスで大人気のジャパンエキスポがあります。Japan Expo Paris(ジャパンエキスポ・パリ)は、毎年7月上旬にフランス・パリで開催される世界最大級のジャパンフェスティバル(日本文化の総合博覧会)ですが、ポップカルチャー中心です。このイベントにも参加したことがありますが、運営には日本人はほとんど関わっておらず、フランス人中心であると認識しています。このように、世界で市民権を得るとその主導権は日本人から離れるというのが、傾向と言っても良いかもしれません。
日本人がどのように関わるべきなのか、今後の課題
日本文化が日本人の手を離れ、現地の文化として広まった例としては、ポップカルチャーや折紙の他に空手があると思います。空手道場は、アメリカでは小さい町にもあります。このような現象は、日本文化が世界中で受け入れられ、愛されている証拠であり、非常に喜ばしいことです。しかし、日本人がほとんど関わらないという事実には、少し寂しさも感じます。
日本文化が世界に広まり、現地の文化として根付くことは素晴らしいことですが、その過程で日本人自身がどのように関与し続けるべきか、今一度考える必要があるかもしれません。折紙の普及活動においても、日本人が積極的に関わることで、より深い理解と新たな価値が生まれることを期待したいと思います。
Origami USAは、その名の通りアメリカでの折紙文化の発展を目指していますが、その根底には日本文化の魅力があります。この魅力を世界中の人々に伝えるためにも、日本人としての視点や知識を提供し続けることが重要だと感じます。