最近アメリカ出願は初めてだという日本の中小企業や個人からのアメリカ知財取得の問い合わせが増えてます。そこで、米国、日本、世界経済に関連した知財業務の動向についての予測をざっくりしてみました。

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新年、あけましておめでとうございます。

さて、我々、弁理士を含む日本人知財業界専門家にとって気になるのが、今年、仕事の傾向はどうなるのかということだと思います。

日本企業の特許出願動向ですが、これを考える上でキーになる要素は、

 ・日本企業の好調
 ・円安
 ・ドル高
 ・米国経済の好調
 ・欧州・ロシアの政治不安
 ・中国の失速

であると思います。

日本企業、特に特許出願の主役である製造業は、好調といっても、単に円安により利益が増えたという単純な好調図式ではないと思います。日本企業はもはや製品の安売り競争をするビジネスモデルではないので、円安により価格競争の優位にたつというような戦い方ではなく、製品やサービスの付加価値、すなわち無形価値により優位にたって世界に出て行くという戦い方になっていると思います。円安になったからと言って製品の価格を下げる必要ななく、付加価値で勝負できるようになっていると思います。いいかえると、知財を活用した勝負が鍵になっていると思います。

世界に出て行くと書きましたが、日本企業好調の今、目指すは世界であり、それは、大企業だけでなく、中小企業にとっても同じく目指すべき市場であると思います。そして、ここで最も重要になるのが米国市場でしょう。世界の戦いの戦場は米国になることは間違いないからです。

日本企業は、欧米やアジアの企業と違い、、大企業だけでなく中小企業(そして個人)に至るまで知財出願に積極的であるというのが特徴です。

日本企業は知財開発により力を入れると思いますが、世界で知財を取るには、円安により従来より知財取得コストがかさむことになりますから、大元になる日本での出願件数は少なくなるのではないでしょうか。日本での経費を削って世界での知財取得にお金をかけるという構図になると思います。

そして、海外での知財取得傾向は、知財予算を管理している大企業だけでなく、そういった予算を管理していないような中小企業や個人についても同じようです。私の事務所でも、昨年の中ぐらいから、アメリカ出願は初めてだという中小企業や個人からの問い合わせが顕著に増えています。

一方、日本企業以外の世界の企業は、従来中国を含む他の国に振り分けていた予算を市場が安定し好調な米国と日本に振り分けてくるでしょう。

このように、日米での知財取得傾向が強まってくると思います。

では、これは日米の知財業界専門家、特に日本の知財専門家にとってグッドニュースかというと、それは分かりません。なぜなら、日米以外の他国の知財業も同じく日米にビジネスチャンスを求めてくるからです。かなり前から日英翻訳の市場には非日本企業が入ってますが、数年前からは特許庁に対する知財出願やライセンス代理業にもその傾向が見られます。

海外企業が日本を目指してくるといっても、出願件数のトータルで見ると、日本企業が自身の海外新進出のために減らす分の日本出願の数は非日本企業が補えるような数ではなく、総出願件数は減っていくと思います。これにより知財専門家間の競争がより増していくということだと予想されます。

だからといって、日本の知財専門家がするべきなのは、外からの参入者との戦いを日本を守るかのように引き籠って行うのではなく、日本人専門家自身が国際競争力を身に着けて打って出るという戦い方をするべきなのは明らかです。これは、とりもなおさず、クライアントの要求でもあり、またその利益にも貢献することです。

日本企業が復活するに従って、日本の知財専門家にもより高度な能力とパワーが求められることは間違いなく、これは非常に厳しいことです。

また、日本企業が国内外で好調になるにしたがって、特許侵害を含む紛争処理の量も増えていくと思います。ライセンス交渉も増えるでしょう。これは、誇張な日本市場でもそうですし、アメリカを中心とした海外市場でもそうだと思います。このような知財紛争に日本の知財専門家は関わっていかなければなりません。クライアントからの要求も非常に厳しいものになるでしょう。

今年は、日本経済が好調とは言っても、、自身のビジネスを推進しよりクライアントの要望に応えるために、我々日本人知財専門家にとっては厳しい年になりそうです。

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