皆さん、こんにちは!
今日は、越境ECなどで役に立つ特許マーキングの話をシェアしたいと思います。
この記事の目次
アメリカ向け商品のパッケージや説明書を作るときに特に気をつけなければならないこととは?
最近、「アメリカで特許を取ったので、
商品を販売したいが、日本で販売している商
品をそのまま販売して問題ないか?」という
質問をクライアントから受けました。
新しくパッケージを作り直したり、説明書を
作る場合に気をつける点はないか?というご
質問です。
Eコマースの発達により、昔よりもアメリカ
での商品販売は簡単になっています。しかし、
ネット販売であっても海外での販売であるこ
とには違いはありません。
海外で特許品を販売する場合、日本とは異な
るルールがあることに注意しなければなりま
せん。
その一つが「特許表示」です。
特許表示って?
特許表示とは、ある製品が特許権でカバーさ
れている場合、そのことを第三者に通知する
ための表示です。
具体的には、下の写真のような、「「US Pat.
12345678」という表示です。よく製品の筐
体や包装等に表示されているので見たことが
ある方も多いのではないでしょうか。
アメリカでは特許表示していないと原則その商品についての損害賠償請求ができないので注意
日本では、特許法第187条に、「特許表
示を付するように努めなければならない」
と規定されていますが、しなかった場合の
罰則や不利益等は規定されていません。
唯一、虚偽表示の場合の罰則が果が定めれ
ているのみです(特許法188条、198条)。
したがって、「特許表示」をあまり重視し
てない日本企業が多いのではないでしょ
うか。
しかし、米国では、特許表示は義務であり、
特許表示がない場合は原則としてその商品
について受けた損害の賠償請求ができない
ことになっているので注意が必要です。
(米国特許法287条)
特許表示の仕方の注意点(バーチャルマーキングとは?)
具体的には、アメリカでは、従来は、製品
やパッケージに対して直接特許番号を載す
ることが求められていました。しかし、製
品に特許番号を直接記載するすると、特許
が切れる度に金型やパッケージを作り直す
必要があり、コスト高となっていました。
この問題を解決するために、近年法改正が
され、特許番号を付す代わりに、特許番号
を記載したウエブサイトのURLを表示すれ
ばいいことになりました。
この特許番号を付す代わりにURLを付すこ
とをVirtual Marking(バーチャルマーキン
グ)と言います。
ただし、そのアドレスにアクセスするのに
料金を支払わなければならないときにはバ
ーチャルマーキングをしていることにはな
らないので注意が必要です。
バーチャルマーキングにおいては、サイトの変更履歴を記録しておくことが重要
バーチャルマーキングにおいては、特許番
号が記載されたウェブサイトの内容がいつ
・どのように変更されたのかについての証
拠を残しておくことが重要です。
後から「侵害行為の後にウェブサイトに特
許番号が追加した」などと主張されること
が想定されるからです。
その履歴はサイトに表示しておくとよいと
思われます。
バーチャルマーキングはUS特有の制度である点に注意する。
バーチャルマーキングはUS特有の制度で
あり、他の国では特許表示として認められ
ないことが多いので注意が必要です。
いかがでしょうか?
まとめ
要点1:特許表示をしておかないと、誰か
特許権を侵害しても、その製品の売り上げ
減を理由とする損害賠償請求ができなくな
る。
要点2:アメリカでは、特許表示はバーチ
ャルマーキングにより行うのが一般的。
要点3:特許表示の要件は国によって異な
るので注意が必要
詳しい特許表示の仕方について質問がある
方は下の連絡フォームからお願いします。
次回は、「アメリカで商品販売する際の落
とし穴(2): 「Rマーク」に注意。商標
に「Rマーク」を付けておかないとトンデモ
ないことに?」というお題で記事を書く予定
です。
それでは今回はこの辺で!