皆さんこんにちは!
今回は米国の移民政策の現状について書きたいと思います。
アメリカに移住したい方のお役に立てれば幸いです。
この記事の目次
新規外国人の就労状況は厳しくなっている
米国における新規外国人(日本人含む)の就労環境は、年々、厳しくなっていると思う。移民制度の運用が非常に厳しくなっているからだ。これは、今に始まったことではなく、民主党のオバマ時代、大きな政府の下での締め付け強化の一環として始まったもので、トランプ政権下でさらに厳しくなったもの。
我々の事務所にもすでに6回もイミグレ当局の抜き打ち査察が入っている。また、ビザ審査の追加資料の要求内容も理不尽なものが多いので厳しいものがある。さらに、候補者に支払わなければならない最低賃金の額が年々上がり続け、今や常識を超える金額になっている。(パラリーガル・技術翻訳者で6万5千ドル、弁理士や弁護士なら駆け出しでも10万ドル等)。企業に、外国人を雇いたくなくならせるのが目的なのか、と思いたくなる。
新規外国人の米国でのキャリアパスは、企業内転勤でなければ、実質上インターン/研修からのみ
いまや、米国で働きたいという若い外国人のキャリアパスは、①大企業内での転勤か、②無償(あるいは安給)のインターン/研修生から(企業の信頼を勝ち得てビザサポート)入る、の2つに限られると思う。
①の場合はH1若しくはEビザである。ビザサポートのスポンサーを「大企業」としたのは、大企業ならビザサポートの余裕もあるし、企業内転勤であれば(ビザを)拒絶されることもほとんどないから。企業内の転勤であれば候補者はビザ審査中も日本で働いていられる。日本からの転勤者ならすでに給与も高水準であろうからビザ取得に要求される最低賃金の要件も満たしやすい。
しかし、①の選択肢は、数年で日本に帰らなければならないので、米国に未来を賭けたいという人には向かない。また、そもそも、まず日本で大企業に就職して数年間は働かなければならないため、すぐに実行できる選択肢とはならない。
一方、②の選択肢の場合はJビザ(1~1年半有効な研修ビザ)である。無償であれば雇いたいという企業は多いはずなので可能性が高くなる。たとえば、米国の大学を卒業した新卒がインターンで入るのあれば、給与は低くても構わないだろう。また、新卒でなくても、この選択肢を取ることは、まずアメリカで働き始めるという実績を作るには有効である。
②の場合、Hビザの要件をクリアするような高い給与をもらうことは無理だが、インターン・研修というお試しの猶予期間(1年~1年半)があるため、一生懸命働けば、JビザからHビザに切り替えるサポートを企業に決断させることは十分可能である。職種として、必要最低賃金の額が比較的低いものを選べばさらにハードルは低くなる。
現地につてがあるのなら、Jビザのインターンでの就労開始はさらに現実性が高い選択肢となる。
現在日本で働いている人で現在勤務の会社を辞めてでも米国に来たいという人へのアドバイスとしては、現地のつてを頼るとしてもほとんどの場合はその現地のつては中小企業だろうし、その場合、H1ビザサポート等は負担が大きすぎるので、難しいと思われる。遠回りのようでも、Jビザ、すなわち無償若しくは安給のインターン/研修を通して現地企業にまず雇ってもらうのが得策であると思う。とにかく、アメリカに入り、一生懸命働くこと!である。
高度資格の取得は、ビザサポートには却ってマイナス要素かもしれないので注意
弁護士や会計士等の場合は資格を取ってからの方が条件が良くなるのではと思いたいところだが、資格を取ると最低賃金が爆発的に上がるので注意が必要である。
最近最も取得しやすいのはOビザ?
私の周囲を見てると、最近、比較的簡単に就労ビザを取得できているのはOビザ(アーティストビザ)である。ただし、アーティストとして生きていくのはそう簡単なことではないので、普通の人には現実的ではないだろう。
抽選によるいきなりのグリーンカードの取得は現実的ではない
抽選でグリーンカードを当てる方法もあるが、当選率を考えると何年も申込み続ける必要があり、また、当たるかどうかは運任せである。今、議会で廃止が議論されていることも考慮する必要があるだろう。
結婚はどうか?
米国人と結婚すればすぐにグリーンカードが発給されるが、なぜすぐにグリーンカードが発給されるのかの理由は、就職よりももっと大きいリスクを冒しての決断に報いているからだとであると考えるべきだろうと思う。結婚のハードルは、そこに至るまでのハードルはもちろんのことであるが、結婚した後の維持も国際結婚の場合は非常に高く、日本人同士の結婚と比べて忍耐や努力が必要な場合が多い。結婚によるグリーンカード取得云々かんぬんというよりも、外国での国際結婚自体が、もしかしたら就職よりも格段にリスクが高いということを認識する必要がある。
以上のように、外国人にとっては年々ハードルが上がる米国での就労であるが、それを乗り越えるだけの価値は、まだまだこの米国にはあると思う。あきらめなければ何とかなるというのが、米国の価値観。挑戦する人にはエールを送りたいと思う。
大切なのは、英語を勉強しておき、機会があればすぐ動くこと、である。