皆さんこんにちは!
「働き方改革関連法案」が参院でも可決され成立しましたね。
この法案に含まれている、長時間労働を助長するとして懸念されている「高度プロフェッショナル制度」(高プロ制度)は、アメリカの「ホワイトカラー・エグゼンプション」に対応するものです。
上記の記事でも、「高プロ制度は、深夜労働や休日労働の残業代も支払う必要もなく、法律に定めている休憩・休息時間も付与する必要もない。労働時間規制を適用除外とするアメリカのホワイトカラー・エグゼンプションと同じものだ。」と書かれています。すなわち、米国のホワイトカラーエクゼンプトは、法律に定めている休憩・休息時間を与える必要なく無制限に働かせることができるというわけです。
識者でも、アメリカでは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」には休日も与える必要もないから、365日稼働させることも可能で、極端には死ぬまで働かせることができる、という人もいるようです。
この記事の目次
米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」に対する誤解
しかし、私は、米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」を上記のように捉えることに違和感を覚えます。
私の経験上、アメリカでは、殆どの人がエグゼンプトの地位を欲しがるからです。
その理由は、時間が自由に使えるからです。
同じ給与であれば、時間に縛られずにいつどこで働いても良いという方がいいに決まってます。
これに対して、日本人の労働者は、いやいや、時間の束縛がないということは、逆に、制限なく働くことにつながるんじゃないの?という疑問を持つのでしょう。
米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」には適用に厳しい制限と罰則がある
確かに、使用者から見れば、労働時間に関係なく一定額の給与を支払えば良いというメリットがあります。しかし、米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度によれば、もし少しでもその従業員を時間で縛ると、その瞬間からその従業員は「ホワイトカラー・エグゼンプション」の地位を失い、週40時間以上の超過労働時間に対して、過去にさかのぼって残業代を支払う必要が生じます。したがって、従業員に対して何時から何時まで働けといって時間拘束することはできないのです。訴訟社会のアメリカでは、もし会社が誤って「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度を運用している場合には、その従業員が退職する際に、ここぞとばかりに残業代を要求される恐れがあります。
したがって、大原則として「ホワイトカラー・エグゼンプション」の従業員は好きな時間に来て好きな時間に帰ることができるというわけです。もちろん、来ないという選択もあります。
また、米国の「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度によれば、その週に1時間でも働いたならば、その週の給与を全額支払わなければならないという決まりがあります。
さらに、「ホワイトカラー・エグゼンプション」は基本的に管理職や専門職にしか適用できず、それも、絶えず地位の見直しをやる必要があります。もし、基準を満たさない従業員を「ホワイトカラー・エグゼンプション」にしていると、上記と同じく、週40時間以上の超過労働時間に対して、過去にさかのぼって残業代を支払う必要が生じます。したがって、会社が、特定の従業員に誤って「ホワイトカラー・エグゼンプション」を適用している場合には、上記と同じく、その従業員が退職する際に、ここぞとばかりに残業代を要求される恐れがあります。
厳しいですね!
したがって、企業はよっぽど確実な社員にしか「ホワイトカラー・エグゼンプション」の地位を与えないというわけです。
日本人は「ホワイトカラー・エグゼンプション」でも時間拘束されると誤解している
日本人が不安に思うのは、労働とは時間で会社に拘束されるものであると考えているからで、それは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」でも同様であると考えているからだと思います。しかし、アメリカの「ホワイトカラー・エグゼンプション」では、少しでも対象のの従業員を時間で拘束した瞬間、残業代を全て支払わなければならないということになるので、従業員を時間拘束できないわけです。
アメリカの「ホワイトカラー・エグゼンプション」は給与も下げられない
また、アメリカでは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」従業員の給与を簡単に下げることはできません。下げる場合は、同じような業務の従業員全員の給与を下げる必要があります。また、それも一時的な給与削減は認められていません。
このように、アメリカでは、社員を容易に「ホワイトカラー・エグゼンプション」に出来ないような仕組みが導入されているわけです。
また、年収の基準も今よりも大幅に高額にする改革案が検討されています。
日本の制度がアメリカの制度と同様になるかはわかりませんが、すくなくとも、アメリカの「ホワイトカラー・エグゼンプション」には休日も与える必要もなく、365日稼働させることも可能で、極端には死ぬまで働かせることができるものである、というのは正しくない理解だと思います。
どうでしょうか?
今回はこの辺で失礼します!、