日本の税関における知的財産侵害物品(コピー商品等)の差止状況が、3年ぶりに年間3万件越え!総額113億円!

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皆さんこんにちは!

今回は、税関における知財侵害品の差止の話です。

侵害防止策として有効な税関における輸入差止

模倣品が出回っている等、知財の侵害が発生している場合、裁判所や捜査機関に訴えるという解決方法以外に、その模倣品が海外からの輸入品である場合には税関で輸入自体を差し止めるという解決方法があります。

下の表は、税関における差し止め件数の統計です(財務省HPより抜粋)。

知的財産侵害物品の輸入差止実績の推移の棒グラフ

知的財産別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)の横棒グラフ

財務省の発表によれば、昨年2016年の輸入差止件数は、30,627件(前年比17.6%増)で、3年振りに3万件を超え、過去2番目の高水準でした。1日平均で、84件、1,300点以上の知的財産侵害物品の輸入を差し止めていることになります。また、輸入差止価額は、推計で約113億円に上ります。

上記の表から分かるように輸入差止の対象は商標が98%を占めます。したがって、商標で約3万件の差止が行われているということになります。

これに対して、商標権侵害の裁判件数(全国第一審(地裁レベル))は年間で100件以下(2016年はたったの78件!)ですから、比較すると侵害品差止手段として輸入差止が非常に有効であることが分かります。

輸入(輸出)差止の申立は裁判と比べると比較的簡単で安く済む

税関での輸入差止が多いのは、その手続きの簡単さと費用の安さにあると思います。もちろん、安いと言っても裁判と比較した場合の話ですが、、、、、

参考までに、弊所で輸入差止の申立を代理した場合、1商標1商品で大体30万円から45万円ぐらいかかります。大きな費用を占めるのは弁理士の鑑定書作成の分部ですが、侵害品がかなり分かりやすいものである場合には安い方、ちょっと複雑な場合には高い方に費用がぶれます。

これに対して裁判を起こすとなると、かかる費用は一般に数百万円となります。

輸入差止の場合、一旦申立が受理されると、税関でモニターされ、該当製品が輸入されてきた時に代理人に通知がきます。これに対して、その商品が申請したものとズバリ同じ場合でも、一応相手方に反論の機会が与えられます。その場合、相手が争ってくる場合もありますが、争ってこない場合にはそのまま差止となります。

仕出国(地域)別には中国来の輸入差止件数が8年連続で9割超

なお、仕出国(地域)別の輸入差止件数では、2017年度は中国が全体の92.2%(28,250件)を占めましたようです(下図:財務省のHPより)。また、商品としては、イヤホンなどの意匠権侵害物品の輸入差止点数が大幅増加しています。なんと、前年の約16倍(135,135点)となったようです。

仕出国別(中国・香港・韓国・その他)輸入差止件数構成比の推移の横棒グラフ

この傾向は、中国企業にとっても脅威になっているようです。本国ではなく、大きな市場である日本での、中国企業同士の輸入差止合戦が増加すると予想されます。

どうでしょうか。

例えば中国からの模倣品に困っている方等、興味のある方は、個別にご連絡ください!

それでは今回はこの辺で!

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