移民主体で今後も人口が増え続けるアメリカと、外国人を便利な労働力としか見ない日本。

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移民主体で今後も人口が増え続けるアメリカと、外国人を便利な労働力としか見ない日本

労働人口も増え続けるアメリカ

昨年は10年に1回のアメリカ国勢調査(センサス)の年でした。
米国勢調査局は10年ごとに実施する国勢調査(センサス)のデータを公表した。そこから、米国の人口増加率の低下や人口分布の南方シフト、都市化の進展、人種・民族の多様化、若年層の人口減少など、米国の人口動態の変化が明らかになった。
ご存じのように、アメリカの人口はこれからも増え続けると言われています。
2020年4月1日時点の米国の総人口(全米50州とコロンビア特別区の居住人口)は3億3,144万9,281人。前回センサスが行われた2010年の3億874万5,538人から、2,270万3,743人増加しました。
これは、2017年に国勢調査局により発表された予想されたのとほぼ一致しています。
この2017年の予想によれば、アメリカにおいても65歳以上の高齢者の人口増加が最も多く、2060年には4人に1人の割合にまで増加します。しかし、労働人口も増え続けるという予想になっています。
一方、若年層の人口ですが、高校卒業生の数は一時期減少したけど、底を打って、今後は増え続ける予想らしいです。

移民により継続的な人口増

 人口増加率は、人種別でみると白人よりも非白人の方が大きく、また、米国生まれ以外の移民による人口増の割合の方がアメリカ生まれの「アメリカ人」よりお大きいという予測になっています。要するに、若い移民が今後も流入して人口増を支えるということになります。
 先進国(G7)で人口がずっと増え続けるのは米国のみであり、色々な市場もこれに合わせて拡大していくことが予想できます。これにより、人も企業も外国からどんどん米国に流れ込んでくることが予想でき、それにより人口の増加も継続していくことになります。
 外国人が増えると色々な問題が増えますが、アメリカははそれを前提とした国であり、吸収できると思われます。そして、実はそれこそがアメリカの最も大きな強みだと思われます。

日本の状況

 一方の日本は、現在1億2千万の人口が、2060年には9000万を切る予想になっています。日本では4人の1人の割合まで増加するのは75歳以上の後期高齢者。また、2.5人に1人が65歳以上となってしまいます。移民に関してはそもそも統計資料からではわかりませんが、おそらく考慮されていないのでしょう。別のみずほ銀行の資料を見るともし外国人の人口が毎年25万人増えれば、2060年の人口は1億人を保てるとされています。
 前回の総選挙(2021年)においては、日本国籍のない外国人は選挙権がないので、移民政策が争点にならなかったのは分かります。なので、各党がどのような政策を持っているのかよくわかりません。しかし、将来のことを考えると、実は日本の未来に最も大きな影響を持つ問題だと思います。

特定技能外国人受け入れ制度

 日本で問題になっているのは、日本社会を支える労働者人口の激減です。
 そこで、政府は、2019年の入管法改正で、特に労働力の確保が難しい14の分野を特定し、外国人単純労働者に対して「特定技能」という新しい在留資格を与えることにしました。
 この制度の導入時には、政府は5年間で34万5000人の受け入れを想定していましたが、3年たった現在、2万人ちょっとにとどまっています。そこで、さらなる利用者の拡大を図るために、今年からはさらに永住の道も開くための改正が予定されています。

アメリカでは単純労働者に就労許可は与えられない

 一方のアメリカでは単純労働に対しては就労資格は与えられません。
 外国人に安易に就労許可を与えるとアメリカ人の就労機会を奪うことや、外国人の人権が侵害される可能性が高いことや、アメリカ人の賃金が低下することが懸念されます。したがって、アメリカで就労ビザを得るには、アメリカ人では代替できない技能を有することと、高い給与を支払うことが条件になります。
 労働力人口は将来に向かって減少することは事実です。しかし現在、日本は決して人材不足なのではなく、当該分野における労働条件と日本人労働者との間にミスマッチが起きているだけという指摘があります。要するに、賃金が低く労働条件も必ずしも良くないため日本人の働き手がないということです。
 日本人は外国人を安価な労働者として見る傾向があり、上記のような日本人では埋められないギャップに外国人を当てるというのは、日本人の感覚に合っており国民の指示が得られやすいのかも知れません。しかし、このような方法だと、将来に向かって日本人と外国人との間に格差を生む可能性があります。
 重要なのは、外国人を安価な労働力ではなく、日本人の仲間になる「移民」として受け入れて長期的な人口減に対応するだけでなく、外国人の力を日本社会の将来に生かすことです。単純労働者というくくりではなく、優秀な外国人がバンバン来るような移民施策を採ることが重要なのではないでしょうか。日本はそのような魅力を備えた国であると思います。
 それでは!

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