トナーカートリッジの再生品の販売は、アメリカで特許侵害になる? 注目の合衆国最高裁判所が出ました

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皆さん、お元気ですか?

今回は、いわゆる「再生品」の販売が
アメリカで違法になるか?
お話しです。

ここで問題になった「再生品」は、
アメリカのメーカのトナーカートリッジを
外国で正規に購入し、
それにトナーを補充し、
詰め変えたものです。

これを、アメリカに持ち込んで
販売することが
そのカートリッジの特許を
侵害することになるか?
それについて、
合衆国最高裁の判決が出たのです。

特許権が「用い尽くされた」ら侵害は成立しない

今回は、最高裁が、
連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)の
判断を覆す判断をし、
特許の侵害にならないと
判断したため
話題になっています。

日本と同様、米国でも、
特許製品が正当に販売された後は、
特許権が用い尽くされたとして、
特許権者は、同じ製品に対して
権利行使をすることができません。

これを、特許用尽理論
若しくは
消尽理論(ファースト・セール・ドクトリン)
と呼びます。

最高裁が「用い尽くされていない」という連邦控訴裁判所の判断を覆した

この用尽理論について、
合衆国最高裁判所は、
今回、
合衆国連邦巡回区控訴裁判所の判断
を覆す新たな判断を示しました。

本件は、そもそも、Lexmark社が、
Impression社に対して、
Impression社がLexmark社の
使用済みトナー・カートリッジに
トナーを詰めて再生利用品として
販売していることを差止等するために
提起していたもので、
原審である連邦巡回裁判所は、
Lexmark社による
米国および海外での販売は
特許消尽に相当しないという判断を
下していました。

その判断に対して、Impression社が
最高裁に上告申請していたものです。

外国向け販売製品でも「特許の用い尽くし」は否定されない

連邦巡回裁判所の判断では、
Impression社の行為は、
以下の2の理由から
用尽理論適用の例外に当たるとし、
Lexmark社の特許は消尽していない
と判断していました。

1つめは、
特許権者が、
特許製品の販売に際しての特約で
販売後の再利用または
再販売に関する制限を加えていれば、
特許権は消尽しないというものです。

2つ目は、
外国向けに販売された特許製品を、
米国内で再販売することについては、
特許権は消尽しないと
いうものです。

このような連邦巡回裁判所判断
に対する最高裁の判断は、
中古市場に大きな影響を及ぼす
として
注目されていていましたが、
2017年5月29日、
最高裁は、連邦巡回裁判所の判断を
覆すという判断をしたものです。

契約での制限は契約法の問題

なお、最高裁の判断によれば、
販売後の再利用
または
再販売に関する制限は、
契約法の問題(契約違反)であり、
特許法の問題ではない
というものですが、
実際のところ、
再販制限の契約は
再生業者との間で結ばれるのではなく、
消費者との間で結ばれるものですから、
再生業者の行為を縛ることは
難しいと思われます。

今後、
色々な分析が出てくると思いますが、
とりあえず以上です。

これを聞いて、
日本で買った製品を再生して
アメリカで売ろう!と
考える方はいらっしゃいますか?

特許以外にも色々な法律が関係する
かもしれませんから、
あくまでも自己責任でお願いします。

商標は別問題なので注意が必要

特に、元のブランドでそのまま売る場合には、
再生品の場合、商標権の侵害になる可能性が
高いので、気をつけてください。

必ず、専門家に相談しましょうね。

それでは!


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