どのようなルートでアメリカに出願するにしても、共通して言える事は、アメリカの特許法のルールに従って作成した英文の書面を出さなければならないということです。
まず、アメリカにパリ条約に基づく優先権を主張して直接出願する場合には、原則として英文の明細書と図面を準備しなければなりません。日本とアメリカの特許法では開示のルール等が異なりますので、日本で出願した書類をそのまま英文に翻訳したのではアメリカのルールには完全には従えません。アメリカのルールに則った英文の書類を準備することが必要です。
時間が無い場合には日本語でとりあえず提出することも可能です。英語以外の言語で出願した場合は、後にUSPTOから「NOTICE TO FILE MISSING PARTS OF NONPROVISIONAL APPLICATION」の通知がありますので、この通知から2ヶ月以内(追加料金の支払いによって延長可能)に英語の翻訳文を提出することができます。
PCT出願の場合は日本語または英語で日本の特許庁に願書を提出します。日本語で出願した場合は、アメリカに国内移行する際にUSPTOに翻訳を出さなければなりません。そして日本語の書類とその英訳は完全に一致していなければなりませんので、翻訳したものがアメリカのルールに従っていない場合が多いです。その場合は補正するか、継続出願するか、若しくは以下に説明するバイパス出願をしてアメリカのルールに従わせる必要があります。
PCT出願を基礎にアメリカにバイパス方式で出願する場合も、アメリカのルールに従った英語の書面を準備しなければなりません。この場合は新規事項を加えることができますが、もし英語の書面が間に合わず、日本語で新規事項を加えた明細書を出した場合、その日本語の明細書と後に提出する翻訳は完全に一致していなければなりません。
いずれの場合もアメリカのルールに従った明細書・図面をを作成しなければなりませんが、日本のルールとは細かい点で異なりますので、専門のアメリカ弁理士にご相談ください。