America Invents Act (AIA) の施行により、2012年はUSPTOにとって歴史的な年となりました。Kappos長官は、AIAを「1836年以来もっとも重要なリフォーム」であると年次報告の冒頭で述べています。先発明主義から先出願主義への移行は、確かに歴史的な改正で、来年春の施行を目の前にした今でも賛否両論議論されています。
また、USPTOは今年7月に、ミシガン州デトロイトにサテライトオフィスを開きました。今後はテキサス州ダラス、コロラド州デンバーおよびカリフォルニア州のシリコンバレーにもオフィスを開く事が予定されており、近隣の雇用機会の拡大が期待されています。これは、地域ごとに産業の特色が分かれている米国ならではの試みであり、近隣の特許弁護士達にとっては、審査官との面接がより身近にできるようになるため、とてもよい動きではないかと思います。
年次報告では特許庁勤務の職員数が発表されていますが、特許審査官7,935人、商標審査官386人、その他3210人、合計11,531人の職員の内、7300人以上が週最低1日以上自宅勤務をした事が発表されています。この動きは、米国のその他の連邦政府関係機関のモデルともなっているようで、自宅勤務の審査官が増える事が予想されています。
さて、実際の特許および商標の審査に関する実績ですが、特許出願において2012年は2011年に比べ、最初のオフィスアクションを受領するまでの期間および出願の係属期間がどちらも短縮されています。最初のオフィスアクションを受領するまでの期間は、2011年には28ヶ月だったものが、2012年は21.9ヶ月とかなり短縮されています。また、出願から特許までの係属期間は2011年に33.7ヶ月だったものが、2012年には32.4ヶ月に短縮されています。
商標においては、最初のアクションを受領するまでの期間は3.1ヶ月から3.2ヶ月に延び、、登録までは10.5ヶ月から10.2ヶ月へと短縮されています。
尚、USPTOでは何よりも優先的に審査を進めてもらえる「Track One」という早期審査制度が導入されていますが、この制度を利用して2012年には606の特許が平均6ヵ月以内にグラントされたと発表されています。早期の特許化が重要な分野にとっては、とても利用価値のある制度ではないでしょうか。
その他にも年次報告では、特許庁の予算等、興味深い情報を見る事ができます。USPTOの実績報告に興味のある方は、USPTOのサイト(こちら)をご覧ください。